水田・酪農・海洋からも 炭素クレジットを知る4本
企業が温暖化ガス排出量のオフセット(相殺)などに使えるカーボンクレジットの種類が増えています。現在は創出、売買とも少量にとどまりますが、今後は大きく拡大する見通しです。新たなクレジットの創出を目指す取り組みや値付けに関する記事をまとめ読みでお届けします。 海の藻などに二酸化炭素(CO2)を吸収させて創る「ブルーカーボン」のクレジット(排出枠)が値上がりしている。直近の平均取引価格は1トンあたり7
再エネ送電、鉄路4.5万キロの潜在力 静岡鉄道が架線活用
静岡鉄道は線路上の架線を使って地元産の再生可能エネルギーを融通する構想に動き始めた。太陽光発電所などでつくった電気を沿線の公共施設や自社施設に届け、地域活性化に結びつける。実現すれば全国初という。全国で約4万5千キロメートルにのぼる鉄道架線の活用が進めば、送配電網の容量不足を緩和し、災害時に停電しにくい街づくりにつながりそうだ。 レイルグリッドでEVに供給検討 静岡鉄道は静岡市中心部と沿岸部を結
家庭や店舗の太陽光からクレジット IHIなど
IHIは太陽光発電サービスを手掛けるシェアリングエネルギー(東京・港)と、家庭や店舗などに導入した太陽光発電から環境価値を創出する事業を始めた。見過ごされることが多かった小規模な電源を一括管理し、二酸化炭素(CO2)排出量を取引するクレジットを発行する。小規模太陽光でクレジットを創出し、導入を後押しする。 シェアリングエネルギーは太陽光発電を使いたい家庭や店舗にパネルを無償で設置し、売電する「シ
家庭用太陽光サービス、3年で2.4倍 富士経済が予測
調査会社の富士経済(東京・中央)は、太陽光パネルのリースや初期費用なしでパネルを設置できる「PPA(電力購入契約)」など家庭向けサービスの市場規模が2025年度に424億円となる予測を発表した。22年度の2.4倍に拡大する。エネルギー消費を実質ゼロにするZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及が市場拡大を後押しする。 調査はリースやPPAなどの年間サービス料を算出した。一般消費者が自らパネルを設
「酪農クレジット」に明治・味の素 温暖化ガス25%減
明治と味の素は酪農由来のカーボンクレジットを創出する取り組みを始めた。味の素が開発した、牛の排せつ物から発生する温暖化ガスの量を減らせるアミノ酸製剤を明治が酪農家に提供。排出削減で生まれたクレジットは明治が買い取る。牛のふん尿やげっぷなど酪農由来の温暖化ガスは世界の排出量の3%を占めるとされ、対応は各国の課題となっている。 アミノ酸のバランス改善 牛のふん尿は二酸化炭素(CO2)の約300倍もの
「GX知らない」中小企業経営者の5割超 民間調査
調査会社のフォーバルGDXリサーチ研究所(東京・渋谷)は中小企業の経営者にグリーントランスフォーメーション(GX)についてアンケート調査を実施した。GXを「知らない」「聞いたことはあるが、よく知らない」と回答した割合が5割を超え、認知度が低い実態が明らかになった。 同研究所が2023年1月10日から2月10日までインターネット上で調査し、有効回答は1619人だった。「GXとは何か知っているか」と
短期PPAで再エネ調達 高島屋・東急不、価格に変更余地
高島屋は特定の発電所から再生可能エネルギーを直接調達する「コーポレートPPA」と呼ばれる仕組みで、東急不動産などと2年間の購入契約を結んだ。15〜20年間が主流のPPAで短期間の契約を結ぶのは国内初という。長期のPPAは電力需要が減ったり電力の市場価格が下落したりしても、一定の価格で再生エネを購入し続ける必要がある。高島屋と東急不は更新時に契約価格を見直す余地を持たせ、リスクを軽減する。 2年契
ジェトロ、米国の脱炭素事例を調査 10企業紹介
日本貿易振興機構(ジェトロ)は、脱炭素ビジネスで先行する米国やカナダの企業を調査したリポートを発表した。米飲料会社ペプシコなどの大手企業に加え、スタートアップなど10企業を取り上げた。 2021年設立のフューチャーは気候変動対策につながる消費に特典を与えるデビットカードを提供する。同カードは米カード大手のビザが支援しており、22年7月時点で米国内だけでも2万人の会員を有しているという。電気自動車
業務用ゲーム機、全機種で消費電力半減 バンダイナムコ
バンダイナムコホールディングス(HD)子会社のバンダイナムコアミューズメントは業務用ゲーム機の全機種で消費電力の半減を目指す。まず年内にも省電力の新型クレーンゲーム機を発売する。納入先のゲームセンターから電力削減を求められる動きがあり、省エネ性能を高めた機器の開発に注力する。 バンダイナムコアミューズメントは社内で省電力や省資源などの基準を設け、ゲーム機を開発している。発売予定のクレーンゲーム機
物流に「脱炭素30年問題」 EV導入5%、荷主にも規制
改正省エネ法は運送事業者に、2030年度までに総重量8トン以下のトラックに占める電気自動車(EV)など電動車の割合を5%に引き上げるよう求めた。導入の高い壁になるのはコストの高さだ。事業者は運賃の値上げで吸収することを模索しているが、荷主の理解が得られるかは未知数だ。物流業界には人手不足による問題に加え、脱炭素移行による新たな問題が浮上した。 脱炭素を見据えた姿に変容した改正省エネ法が4月に施行さ