気候変動、シナリオ別に影響定量化 第三者保証なお半数
気候変動対応など環境関連開示の制度化が急ピッチで進んでいる。温暖化ガスの排出削減機運の高まりや環境負荷の低い商品を選好する若者の増加などを背景に、環境分野は将来の企業価値を占う情報として注目されるためだ。投資家にとって有用な情報にするため、気候変動のリスクや事業機会を定量的に開示する動きが広がっている。 NIKKEI GXは脱炭素の取り組みで有力企業500社をランク付けした「GX500」のリストに
取引先にSBT目標要請 大和ハウスなど、スコープ3削減
企業が取引先に脱炭素の取り組みを要請する動きが広がってきた。大和ハウス工業やルネサスエレクトロニクスなど少なくとも18社が、国際イニシアチブ「科学と整合する温暖化ガス削減目標(SBT)」の設定を求めている。サプライチェーン全体を対象とする「スコープ3」排出量を減らす狙いがある。 SBT目標 国際枠組み「パリ協定」が求める水準と整合した温暖化ガス排出削減目標。企業は5〜10年先を目標年として設定する
六ケ所村の風車、20年目に倒壊 「事故前から亀裂」か
青森県六ケ所村で風車の倒壊事故が起きて1カ月余り。厳密な事故原因の解明はこれからだが、事業者は初期調査の結果として、倒壊したタワーに塗装割れや亀裂を確認。「数カ月以上の期間で進展した」との推定を示した。この発電所は2023年に運転20年を迎え、リプレースの準備を始めていた。保守点検は費用面でも風力発電事業を構成する主要項目の一つだけに、あるべき実施方法の確立が今後の焦点になる。 「事前に発見する
スコープ3排出削減へ「受益者負担制」 楽天グループ
楽天グループは二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出削減にかかるコストを事業部門ごとに負担する「受益者負担制」と呼ぶ取り組みを始めた。まず「スコープ1」「スコープ2」排出量で実施しており、総排出量の9割以上を占める「スコープ3」分でも導入する。事業部門に当事者意識を持たせて削減を急ぐ。 事業部ごとに費用負担 ネット通販や金融、電力小売りなど多数の事業を手掛けるため、事業ごとに排出量の差が大きい
「酪農クレジット」に明治・味の素 温暖化ガス25%減
明治と味の素は酪農由来のカーボンクレジットを創出する取り組みを始めた。味の素が開発した、牛の排せつ物から発生する温暖化ガスの量を減らせるアミノ酸製剤を明治が酪農家に提供。排出削減で生まれたクレジットは明治が買い取る。牛のふん尿やげっぷなど酪農由来の温暖化ガスは世界の排出量の3%を占めるとされ、対応は各国の課題となっている。 アミノ酸のバランス改善 牛のふん尿は二酸化炭素(CO2)の約300倍もの
短期PPAで再エネ調達 高島屋・東急不、価格に変更余地
高島屋は特定の発電所から再生可能エネルギーを直接調達する「コーポレートPPA」と呼ばれる仕組みで、東急不動産などと2年間の購入契約を結んだ。15〜20年間が主流のPPAで短期間の契約を結ぶのは国内初という。長期のPPAは電力需要が減ったり電力の市場価格が下落したりしても、一定の価格で再生エネを購入し続ける必要がある。高島屋と東急不は更新時に契約価格を見直す余地を持たせ、リスクを軽減する。 2年契
肥料大手ヤラ、米にブルーアンモニア工場 3800億円投資
ノルウェー肥料大手のヤラ・インターナショナルは、カナダのパイプライン運営大手エンブリッジと米国にアンモニア工場を新設すると発表した。生産過程で生じた二酸化炭素(CO2)を回収し地下に貯留する「ブルーアンモニア」を生産する。投資額は最大29億ドル(約3800億円)。船舶などの代替燃料として、アンモニアの生産体制を増強する。 南部メキ
「水田クレジット」300億円の潜在力 稲作でメタン抑制
稲作で温暖化ガスの排出枠を生み出す「水田クレジット」が動き出す。政府がクレジット創出方法として認定したのを受け、企業が相次いで関連事業に参入する。農地を使った温暖化ガス削減の潜在力は森林の4倍にのぼり、中でも水田クレジットは300億円以上の価値を生むとの試算もある。クレジットの需要拡大が確実視されるなか、新たな供給源に育つ可能性がある。 「中干し」延長でメタン抑制 農林水産分野は二酸化炭素(CO
物流に「脱炭素30年問題」 EV導入5%、荷主にも規制
改正省エネ法は運送事業者に、2030年度までに総重量8トン以下のトラックに占める電気自動車(EV)など電動車の割合を5%に引き上げるよう求めた。導入の高い壁になるのはコストの高さだ。事業者は運賃の値上げで吸収することを模索しているが、荷主の理解が得られるかは未知数だ。物流業界には人手不足による問題に加え、脱炭素移行による新たな問題が浮上した。 脱炭素を見据えた姿に変容した改正省エネ法が4月に施行さ
INPEX、英シェルとインドネシアでCCS ガス田のCO2削減
INPEXは英エネルギー大手シェルと、インドネシアで二酸化炭素(CO2)を回収・貯留する「CCS」に乗り出すと発表した。インドネシア東部の天然ガス開発事業「アバディ」で生じるCO2をガス田に埋め戻し、採掘による環境負荷を抑える。 このほどインドネシア当局に開発計画を提出した。1カ月ほどで承認が下りる見通し。 産出した天然ガスに混ざるCO2を陸上施設で分離し、パイプラインでガス田に送り海底から地下