アンモニア活用、埋まらぬ溝 G7環境相声明後も異論噴出
札幌市で開かれた主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合は、アンモニアの扱いを巡る議長国・日本と欧米の対立を浮き彫りにした。日本は発電の脱炭素に向けた役割を重視する一方、欧米では石炭火力の温存につながるとの懸念が根強い。共同声明は多くの条件付きで活用を盛り込んだが、会合終了後に各国の関係者から異論が噴出している。 日本政府、反対意見説明せず 西村康稔経済産業相は会合後、ツイッター上で「再エ
G7環境相声明「クレジットの質重視」 東大・高村氏が解説
主要7カ国(G7)の気候・エネルギー・環境相会合は16日、共同声明を発表した。二酸化炭素(CO2)の排出削減への対策が取られていない化石燃料の「段階的廃止」で合意したものの、廃止年限には踏み込まなかった。気候変動対策に詳しい高村ゆかり東京大学未来ビジョン研究センター教授は「共同声明には、パリ協定が求める1.5度目標に沿った水準での対策を先進国が進めるという強いメッセージが込められている」と解説し
20のポイントで読むG7環境相声明 削減貢献量に価値
主要7カ国(G7)の気候・エネルギー・環境相会合は16日、主に92項目から成る共同声明を採択した。スコープ1〜3とは別に、製品やサービスを通じて社会全体の脱炭素に企業が貢献するのを評価する「削減貢献量」の考え方について「価値がある」と言及した。NI
脱炭素規制、焦点は 「点検・改正省エネ法」まとめ読み
脱炭素を見据えた姿に変容した改正省エネ法が4月に施行されました。それぞれの産業にどう影響を及ぼし、企業がどう対処するかをNIKKEI GXでは連載中です。これまで掲載した改正法の全体、温暖化ガス多排出企業の対応の4回分をまとめ読み形式でお届けします。 エネルギー消費の総量を減らす目的で定められた省エネルギー法が、大きく姿を変えた。電化の推進や再生可能エネルギーの活用を求めるなど「脱炭素法」として
「眠れるガス田」総菜工場 ライフ・イオン系がバイオ発電
食品スーパーが自前でバイオガス発電施設を運営する動きが広がってきた。ライフコーポレーションは大阪市の総菜工場に食品残さを活用した発電施設を稼働させ、首都圏での発電も検討する。イオン子会社で四国が地盤のフジも松山市の工場で発電している。総菜工場が「眠れるガス田」として注目されている。 燃料はキャベツの芯やパイナップルの皮 大阪の市街地から車で20分あまり。大型トラックが出入りする倉庫街の一角に、ラ
物流に「脱炭素30年問題」 EV導入5%、荷主にも規制
改正省エネ法は運送事業者に、2030年度までに総重量8トン以下のトラックに占める電気自動車(EV)など電動車の割合を5%に引き上げるよう求めた。導入の高い壁になるのはコストの高さだ。事業者は運賃の値上げで吸収することを模索しているが、荷主の理解が得られるかは未知数だ。物流業界には人手不足による問題に加え、脱炭素移行による新たな問題が浮上した。 脱炭素を見据えた姿に変容した改正省エネ法が4月に施行さ
水素戦略、欧州になお後れ 電解装置30年15ギガ止まり
岸田文雄首相が次世代燃料の柱となる水素の普及に向けた「水素基本戦略」を改定する意向を示した。水素サプライチェーン(供給網)の肝である水電解装置は2030年に15ギガ(ギガは10億)ワット程度を導入する目標を設定した。世界全体の1割に相当する水準だが、欧州連合(EU)はさらに野心的な計画を掲げており、出遅れ懸念はなお払拭できない。 再生エネの拡大計画案も提示 政府は4日、脱炭素に向けて大きく2つの
屋根置き太陽光に退去リスク 欧米では「発電続ける権利」
工場などの屋根を借りて太陽光発電を手掛ける事業モデルに、建物所有者との権利関係がリスクとして浮上している。建物の所有者が変わり立ち退きを迫られた場合、発電事業者は「借り続ける権利」を主張できない。欧米では再生可能エネルギーの導入拡大に向け、発電事業者を保護するルール整備が進むが、法務省は法律の改正に慎重姿勢をとっている。 「発電できる期間が見通せず、中小の発電事業者は資金を借り入れできないリスク
屋根置き太陽光、肩すかしのFIT優遇 全量売電「不採算」
経済産業省は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を見直す。2024年度から新しい区分を設け、企業が工場や倉庫の屋根に置いた太陽光パネル由来の電力は買い取り価格を従来より2〜3割引き上げる。再生エネを自家消費して余った分を売電する場合はメリットがあるものの、全量を売電する場合は不採算となるケースが多く、発電事業者は肩すかしを食らった格好だ。優遇策が太陽光発電の拡大にどこまでつながるか
このGX連携は違反か 公取委・独禁法指針にみる10事例
温暖化ガスを削減するためにライバル企業と組んでも独占禁止法違反にならないか。こうした懸念に対応し、公正取引委員会が独禁法の運用指針をまとめ、問題になるケースとならないケースを76の具体例で紹介した。NIKKEI GXはこのうち企業の関心が高い10のケースを取り上げて解説する。 シェア70%超でも「問題にならない」 脱炭素に向けた「事業者の取り組みは独占禁止法上問題とならない場合が多い。事業者を後