「水田クレジット」300億円の潜在力 稲作でメタン抑制
稲作で温暖化ガスの排出枠を生み出す「水田クレジット」が動き出す。政府がクレジット創出方法として認定したのを受け、企業が相次いで関連事業に参入する。農地を使った温暖化ガス削減の潜在力は森林の4倍にのぼり、中でも水田クレジットは300億円以上の価値を生むとの試算もある。クレジットの需要拡大が確実視されるなか、新たな供給源に育つ可能性がある。 「中干し」延長でメタン抑制 農林水産分野は二酸化炭素(CO
CO2フリーのアンモニア、「光」で合成 東大・西林教授
脱炭素燃料として注目されるアンモニアで、製造時に二酸化炭素(CO2)を出さない合成法の開発が進んでいる。東京大学の西林仁昭教授は化石燃料に頼らず「空気、水、光」から作る手法に挑んでいる。大規模設備を必要としないため、場所の制約を受けずに製造できるところも利点だ。日本発の技術として新燃料の普及につながる可能性を秘める。 常温・常圧での合成 2022年12月、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ
解剖CFP 全過程の9割に「実測値×係数」、Uアローズ
原材料調達から廃棄に至る全過程での二酸化炭素(CO2)排出量を表示するCFP(カーボンフットプリント)を巡り、政府は近く算定指針をまとめる。指針作りのプロセスで示された方向性を踏まえ、セレクトショップ大手のユナイテッドアローズはカットソーで算定を実施した。海外の生産委託先とも連携し、総排出量の約9割に相当するプロセスで単なる見なし計算ではなく実測値に係数をかける手法を使ったのが特徴だ。 CFPを巡
ブルーカーボン、7.8万円 高値でも買う商船三井の計算
海の藻などに二酸化炭素(CO2)を吸収させて創る「ブルーカーボン」のクレジット(排出枠)が値上がりしている。直近の平均取引価格は1トンあたり7.8万円。活用できる場は限られるにもかかわらず、再生可能エネルギーの活用に由来する「Jークレジット」の20倍以上の水準だ。購入した商船三井などの狙いは何か。 ブルーカーボン 藻などの海洋生物が光合成により吸収する炭素を指す。海底に泥などとして長期貯留される。
炭鉱拒否でも石炭輸出拡大 オーストラリアに2つの顔
オーストラリア政府が、北東部で計画されていた炭鉱開発について不認可の決定を下した。2022年に成立した労働党のアルバニージー政権は脱炭素目標を法律で義務化するなど、これまでも気候変動対策に積極的な姿勢をみせてきた。環境派は勢いづくが、輸出が好調な石炭産業の本格的な縮小に政権が踏み込むとの見方は少ない。 環境法に基づく初の阻止 「人々の力が新たな炭鉱を阻止した」。環境保護団体のオーストラリア自然保
アスクル、4000品目に独自環境スコア 低炭素品開発促す
ネット通販大手のアスクルが、商品ごとに独自の環境スコアを算出して通販サイトに表示する仕組みを始めた。対象はメーカーがアスクル向けに開発したオリジナル品など。文具や家具、工具など4000品目近くがある。二酸化炭素(CO2)排出量の算出も準備中だ。企業や消費者など買い手が環境負荷の少ない商品を選べるようにして、メーカーが低炭素品を開発するのを後押しする。 排出量の8割は仕入れた商品 小売業のアスクル
建物のCO2排出算定、手探り段階 手法の違いで3割の差
モノやサービスの二酸化炭素(CO2)排出量を把握しようとする動きが広がり始め、どういった手法で計算するかが現実的な課題として浮上してきた。建築分野では、同じ物件でも手法が違うと算定結果に3割の差がついた事例が明らかになった。排出量の正確な把握は脱炭素を進めるために不可欠のプロセスだが、現状はなお手探り段階にある。 民間ソフトと建築学会指針 2022年11月に竣工した東京芸術大学の国際交流施設。鉄
SAF量産、ランザジェットが名乗り ネステ追い世界展開
三井物産や英シェルなどが出資する米国のスタートアップ、ランザジェット(イリノイ州)が環境負荷の少ない航空燃料「SAF」の量産に乗り出した。米国で初の自社工場の建設を始めた。日本や欧州でも提携先に技術を提供する横展開モデルで供給量を増やす計画だ。SAFを量産できる企業は現在、フィンランドのネステなどごく一部で、需要に供給が追いついていない。メーカーに広がりが出ると航空の脱炭素に一歩近づく。 初の工