IPCC報告書、企業への影響は 「エキスパートに聞く」4本
NIKKEI GXでは読者や記者の質問に対し、日経電子版の「Think!」のエキスパートが答える企画を実施しています。最近取りあげた、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次統合報告書や、主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合の共同声明、GX経済移行債などについての記事をまとめ読み形式でお届けします。 主要7カ国(G7)の気候・エネルギー・環境相会合は4月16日、共同声明を発表
洋上風力「投資ゼロ」下の300GW合意 北海サミット
ドイツや英国、フランスなど欧州9カ国は2050年までに北海で洋上風力の発電容量を3億キロワット(300ギガワット)に引き上げることで合意した。足元の欧州全体の導入量に比べて約10倍の規模となる。洋上でグリーン水素を一貫生産する構想も打ち出した。ただ資材コストの上昇などで、22年は欧州で洋上風力の投資が1件も決まっていない。目標達成には資金の呼び込みやサプライチェーン(供給網)の整備が課題となる。
合成燃料は現実解か 満タンには3万円、ガソリンの1.5倍
2035年を目指して欧州連合(EU)が進める自動車の脱炭素で、ドイツが推す「合成燃料」が認められることになった。電気自動車(EV)への急激な移行を警戒する石油業界や独自動車業界の声に配慮したかたちだが、合成燃料の価格はガソリンよりも5割高いとの試算がある。満タンにかかる費用は210ユーロ(約3万円)。脱炭素の現実解となるかはまだ読めない。 NIKKEI GXでは海外在住の専門家やジャーナリストにグ
「緑のインフレ」GX遅れると深刻に 大和証券が試算
脱炭素への移行に伴う物価上昇「グリーンフレーション(緑のインフレ)」をどう回避するか。世界の金融界で議論の的になっている。脱炭素とインフレの関係に詳しい大和証券の尾谷俊シニアストラテジストは「早期に脱炭素の移行に取り組めば物価の押し上げ圧力は0.5%程度に緩和できる」と分析する。脱炭素の着実な移行策を政府がいかに進めるかが重要になりそうだ。主なやりとりは以下の通り。 グリーンフレーション(gree
建機の脱炭素へバイオ燃料「HVO」 コマツ小川社長
乗用車に比べて電動化が難しい建機の脱炭素をいかに進めるか。コマツの小川啓之社長はバイオ燃料「HVO(水素化植物油)」など代替燃料の活用を顧客に呼びかけ、自社でも出荷時の燃料に使う考えを明らかにした。電動化の研究を進めながらも、当面はハイブリッド(HV)建機なども含めた「つなぎ」の技術に注力する方針だ。主なやりとりは以下のとおり。 植物由来のHVO、CO2を9割削減 ――建機の電動化はまだ一部にと
グリーンウオッシュにEU規制案 企業に外部審査義務付け
うわべだけの環境配慮をアピールして顧客や投資家を欺く「グリーンウオッシュ」に歯止めをかけるべく欧州連合(EU)がルール整備に乗り出した。このほどEU指令案を公表し、製品が本当に環境に優しいのかどうか、専門機関のチェックに基づく科学的根拠を示すよう企業に義務付けるとした。「脱炭素」の取り組みが企業の重要戦略となるなかで、情報開示のあり方にも焦点が当たり始めた。 NIKKEI GXでは海外在住の専門家
IPCC6次報告書、企業にどう影響? 東大・高村氏が解説
世界の科学者らで構成する国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、地球温暖化についての第6次統合報告書を20日、公表した。パリ協定が求める1.5度目標を達成するために、排出削減のための施策をこれまで以上に進める必要性を強調した。気候変動対策に詳しい高村ゆかり東京大学未来ビジョン研究センター教授は、企業などは「これまで以上のレベルでの排出削減の戦略を立て、実行することが求められる」と解説した
欧州「ネットゼロ産業法」 水素や風力などに生産目標
欧州連合(EU)が脱炭素ビジネスを後押しする「ネットゼロ産業法案」の概要を公表した。太陽光や風力発電など、温暖化ガスの排出ネットゼロを実現する8分野の技術を定め域内での投資を促す。あわせてグリーン技術に不可欠な鉱物について中国依存からの脱却をはかる「重要原材料法案」や、水素産業を支援する「水素銀行」の工程表も発表。ネットゼロ技術での輸入超過が続くなか、ルールで主導権を握りたいEUの意地がにじむ。
再エネ、自社開発軸に中国電1社分 豊田通商・貸谷社長
豊田通商が再生可能エネルギー事業に注力している。2030年に発電能力の合計を、中国電力1社に相当する10ギガ(ギガは10億)ワットにする目標を掲げた。自社開発に加え、4月以降にソフトバンクグループ(SBG)の再生エネ子会社を買収するなどして発電量を増やす。貸谷伊知郎社長はNIKKEI GXの取材に、国内外で電源開発を加速する考えを示した。主なやりとりは以下の通り。 アジア、アフリカに的 ――SB
マクロン氏のEU「原発同盟」 脱炭素の切り札か足かせか
欧州連合(EU)内でフランスが原子力発電の推進に動いている。2月末にはマクロン大統領がブルガリアやクロアチアなど域内10カ国に「原発同盟」への参加を呼びかけた。エネルギー危機が続く中、自国の強みである原子力産業を温暖化対策の切り札として売り込む狙いがある。当面の焦点は原子力が低炭素エネルギーとしてEU内で正式に位置づけられるか。フランスの動向は再生可能エネルギーの普及にも影響を及ぼす。 NIKKE