中国、和平の仲介なるか ギデオン・ラックマン
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は4月26日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話協議した。筆者がその前にウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問していた際、驚いたのは大統領府だけでなく、外務省でも習氏との協議を待ち望む声が強かったことだ。そして、その電話協議がついに実現した直後、ゼレンスキー氏は会談を「長く有意義だった」と高く評価した。 中国政府はその日、和平合意達成に向け特使を指名すると
アストラゼネカ、中国で提携先開拓 「市場開放された」
英製薬大手アストラゼネカは中国市場が海外の製薬会社に「完全に開放された」として、新たな提携先を探している。 アストラゼネカのパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)は、2週間の中国出張から戻ってきたばかりだ。中国では過去数カ月で3件のライセンス契約を結んだ。 ソリオ氏は27日の2023年1〜3月期決算発表で「事業開発契約を3本結び、さらに増える見込みだ。間違いなく買収もできるだろう。そこに制約は
中国当局、米ベインの上海事務所を家宅捜索
中国当局が米コンサルティング大手ベイン・アンド・カンパニーの上海事務所を家宅捜索し、従業員に任意で聴取していたことがわかった。米中政府の緊張が高まるなか、中国で外国企業への監視が厳しくなっていることを改めて示している。 今回の状況を知る6人の関係者は、中国当局が2週間前、ベインの事務所を抜き打ちで家宅捜索したと語った。このうちの2人によると、コンピューターや写真が押収された。従業員は拘束されなか
米中戦争、どう阻止するのか ギデオン・ラックマン
先週ワシントンを訪れた際、米中間で戦争が起きるかもしれないという議論がいかに頻繁に展開されているかに驚かされた。背景には米軍の将校らが、米中がいつ頃に衝突しかねないかを安易に口にしてきたことがあり、そうした発言や動きがこの議論をあおっている(編集注、昨年10月、米海軍のマイケル・ギルディ作戦部長が、中国の台湾侵攻が2023年までに起きる可能性を示唆したことや、今年1月に元インド太平洋軍副司令官で
「中国からの生産移転は不可能」、香港の海運幹部
世界有数のコンテナ船運航会社の幹部は、中国による国際貿易での支配的な立場により、サプライチェーン(供給網)から同国を切り離すことは不可能だと語った。欧米などの企業が地政学的緊張からのリスク回避を目的に、中国外での生産拡大を図るなかで、こうした認識を示した。 「チャイナプラスワン」は誇張と主張 中国の国営海運大手、中国遠洋運輸(COSCO)と同じグループに属し、香港に本社を置くオリエント・オーバー
中国、就職難の大卒者に単純労働のすすめ
中国政府は高止まりする若年失業率の責任を、職のない大卒者に転嫁している。彼らは、専門職に就く望みを捨てずに単純労働に従事することを拒んでいると非難した。 この数週間、国営メディアは専攻した分野に沿ったキャリアを求めるのではなく、屋台で食べ物を売ったり果物を栽培するなど高い技術を必要としない仕事で財産を築いたとする大卒の若者を、十数本もの記事で取りあげている。 「スーツを脱いで農場に行く」ように要
台湾防衛が必須な理由 ギデオン・ラックマン
米国は台湾を防衛すべきか。これは抽象的な議論ではない。中国は(台湾の蔡英文=ツァイ・インウェン=総統が4月上旬に米国でマッカーシー下院議長らと会ったことへの不満を表明すべく)、8〜10日に軍事演習を実施し、台湾空爆のシミュレーションに加え、海軍は台湾を包囲する行動に出た。 中国が台湾への軍事的圧力を高めているのを受け、バイデン米大統領は中国が台湾を攻撃したら台湾を守ると繰り返し4回約束している
ウクライナへの温度差で世界分断 ギデオン・ラックマン
バイデン米大統領が訪問先のアイルランドで感傷にふけっていた頃、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は北京で多忙を極めていた。フランスのマクロン大統領の注目を浴びた訪問に続き、ブラジルのルラ大統領をもてなした。 ルラ氏と習氏の首脳会談でのメッセージは中国にとって心地よかったが、米国にとっては憂慮すべき内容だった。ルラ氏は、ブラジルが中国と協力して「国際政治のバランスをとる」ようにしたいと述べ、米
中国「一帯一路」で不良債権が急増 過去3年で10兆円超
中国の広域経済圏構想「一帯一路」で、不良債権が急増している。過去3年間に焦げつきが明らかになった債権は780億ドル(約10兆円)を超えた。一帯一路は全体で1兆ドル規模とされる。 同構想のおかげで中国は二国間ベースでは世界最大の貸し手となった。だが、不良債権の急増で、政府や同国大手銀行には財政上の大きな負担となっている。 米調査会社ロジウム・グループによると、中国の金融機関が世界の道路や鉄道、港湾
HSBC、筆頭株主から批判 アジア分離の影響「誇張」
英金融のHSBCがアジア事業を切り離すことの「コストとリスク」を「誇張」したと、同行の筆頭株主である中国平安保険が明らかにした。同社は公式声明を使うという珍しい手法でHSBCの事業をどのように分離すべきか提示した。 平安アセットマネジメントの黄勇・董事長は18日の声明で、分離は初期コストを伴うものの、「偏見のない状態で、利益との天びんにかけられるべきだ」と指摘した。 香港上場やアジア全域での事業