欧州の天然ガス価格、エネルギー危機以降で最低に
欧州の天然ガス価格がエネルギー危機以降の最低水準に下落した。エネルギー価格の上昇圧力が弱まり、より力強い景気回復への期待が高まっている。 欧州の天然ガス指標のオランダTTF先物は5日、一時1メガワット時あたり35.20ユーロの安値を付けた。この水準を最後に付けたのは、ロシアがウクライナ侵攻前に欧州へのエネルギー供給をしぼり始めた2021年7月だ。その後、わずかに上昇し、週末の終値は35.95ユー
無名のインド企業、ロシア産石油を大量輸送
インド西部ムンバイのさびれたショッピングモールから、巨大な石油輸送会社がわずか18カ月の間に出現した。 ロシアによるウクライナ侵攻以降、この会社は誰よりも多数の石油タンカーを購入し、無名だった会社を世界有数のタンカー所有者に押し上げた。 「ガティック・シップ・マネジメント」は2021年にはたった2隻のケミカルタンカーしか保有していなかった。英調査会社ベッセルズ・バリューによると、22年4月以降に
欧州で冬の石炭消費減少 電力向け、化石燃料の依存低下
調査によると、欧州連合(EU)の今冬の石炭消費量はエネルギー危機の中で前年より減少した。ロシアによるガス供給が減った分の代替品を見つけるために、各国が慌てて最も環境負荷の大きい化石燃料の消費を急増させるのではないかという懸念は吹き飛んだ。 エネルギー分野の英調査会社エンバーの調査によると、2022年10月から23年3月にかけて石炭による発電量は27テラワット時(前年同期比で約11%)減少し、ガス
フランス原発、採用難で「衰退論」も 政府の対応課題
「要求が変わった」 EDFと同社のサプライヤーが経営の立て直しを急ぐなか、次の課題が目の前に待ち受けている。フランスの原子力規制機関、原子力安全局(ASN)によると、これに取り組むには第2次世界大戦後の米国による欧州復興計画「マーシャルプラン」に似たような対策が必要になる。 原子力産業で約22万人を雇用しているフランスは、新たな原発建設計画のために熟練労働者の厚い層を再構築しなければならない。こ
フランス、原発新設計画に苦闘 人材不足6年10万人
ゲイタン・ジェフレイさんはクレーンを生産する会社で金属加工を学ぶまで、10年間、左官やペンキ職人として働いていた。アルノー・デュプイさんは警察官だった。仏ブルゴーニュ地方の奥深くに立つ工場の3人目の同僚は、かつてパン職人だった。 工場を所有しているのは仏電力公社EDFの子会社フラマトムで、3人はフランスで引く手あまたの職である原子炉分野の溶接工として認められることを期待している。すべてがうまくい
EU、農業の環境負荷削減に躍起 骨抜き図る加盟国
政策当局としては、農産物の生産拡大を抑えたいのが狙いなのかもしれない。農学者らは、欧州の一部地域は過剰に耕作されていると話す。2021年には、欧州連合(EU)は1970億ユーロ(約25兆円、当時)相当の農産物を中国などの国々に輸出する一方、1500億ユーロ相当を輸入し、470億ユーロの黒字を記録した。 【関連記事】欧州の農家、厳格なEU脱炭素政策に反旗 オランダの農業経済学者のクライン・ポッパ氏は
欧州の農家、厳格なEU脱炭素政策に反旗
タキス・カザナスさん(66)の農場の納屋と搾乳小屋の背後には、テッサリア平原を見下ろす雄大な山がそびえる。 ギリシャ北部のこの広大な緑地では数千年にわたって牛が育てられてきたが、欧州連合(EU)の規制当局は今、カザナスさんの酪農場のような農場を製鉄所や化学品工場のような「工場」として扱うルールの制定について議論している。 こうしたルールが施行されたら、カザナスさんが4人の息子とともに300頭の畜
ブラジル 「金の違法取引撲滅、国際的な取り組みを」
世界各国の政府は金の輸入をより厳しく管理する必要があり、アマゾン地域から貴金属を密輸入している企業は罰せられるべきである――。ブラジル政府は訴える。 取り締まりは新政権の優先課題 ブラジル初の先住民相に就任したソニア・グアジャジャラ氏(49)は、1月に発足した左派のルラ政権が優先的に取り組むべき課題としてあげた違法な金採掘の取り締まりに向けた外国政府や産業界からのさらなる支援を呼びかけた。 ブ
米国に大型投資の波、バイデン氏の産業政策に成果
米国の製造業が一大ブームを迎えようとしている。バイデン大統領が主導した巨額の補助金制度を活用して、大企業が数百億ドル規模の新規プロジェクト投資を続々と表明していることがフィナンシャル・タイムズ(FT)の調査で分かった。 2022年8月に相次いで可決された「CHIPS・科学法」と「インフレ抑制法(IRA)」には、国内の半導体産業と再生可能エネルギー産業の基盤整備を目的にした総額4000億ドル(約5
脱炭素「しくじり」目立つ ピリタ・クラーク
環境保護にまつわる企業の悪しき行動は奇妙な変遷を遂げてきた。最初に出てきたのは、企業が実際より環境対策に取り組んでいるようにみせる「グリーンウオッシング」だった。 次に、グリーンウオッシングをしていると批判されないように、口をつぐんで実際より環境に配慮していないふりをする「グリーンハッシング」があった。 そして今、「グリーンボッチング」(ボッチはしくじるの意)とも言えそうなことが起きている。善意