AIの発展には「超知的」な規制が必要だ(社説)
強力な人工知能(AI)システムは社会に大きな便益をもたらし、世界最大の問題のいくつかに対処する力になりうる。機械学習モデルはすでに病気の診断や科学的研究の促進、経済の生産性向上において重要な役割を担っている。また、電力網で電力の流れを最適化することによって、電力消費の削減にも役立っている。 AIに対する否定的反応が生じた結果、こうした便益が得られなくなるとすれば、それは悲劇だ。だが、そのリスクが
メディアの嘘は民主主義を脅かす マーティン・ウルフ
ルパート・マードック氏とその長男ラクラン・マードック氏が率いる米フォックス・コーポレーションと、傘下の報道局「FOXニュース」は4月、投票機メーカーのドミニオン・ボーティング・システムズに対する名誉毀損で16億ドル(約2200億円)の損害賠償を求められていた件について、7億8750万ドルを支払って和解した。 ドミニオンの代理人を務めたジャスティン・ネルソン弁護士は「真実の重要性」と「嘘の報い」が
米スペースXの大型ロケット、採算性が難点に
今から18年前の2005年4月、欧州エアバスが開発した世界最大のジェット旅客機「A380」が初飛行した。就航するとA380は多数の旅客アンケートでライバル機を引き離して高評価を得た。超大型機が満席になることがまずなく、人気の理由はエコノミークラスの乗客も長旅で体を伸ばせるからだという冗談が航空業界に広まった。最終的には航空会社からの受注が振るわず、19年に生産終了が発表された。 米起業家のイーロ
AIが金融界にもたらす3つのリスク ジリアン・テット
この何十年、金融界では「フェドスピーク(Fedspeak)」と呼ばれる現象が続いてきた。つまり、米連邦準備理事会(FRB)のメンバーが発言するたびに、エコノミスト(そしてジャーナリスト)らがそのコメントを急いで解析し、トレーダーらはそれらを受け市場での賭けに出てきた。 パウエル議長のコメントの分析もAIの方が優れている? しかし、米リッチモンド地区連銀のエコノミストらが正しければ、この慣習は早晩
中国、和平の仲介なるか ギデオン・ラックマン
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は4月26日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話協議した。筆者がその前にウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問していた際、驚いたのは大統領府だけでなく、外務省でも習氏との協議を待ち望む声が強かったことだ。そして、その電話協議がついに実現した直後、ゼレンスキー氏は会談を「長く有意義だった」と高く評価した。 中国政府はその日、和平合意達成に向け特使を指名すると
インド「人口最多」に口重く ジョン・リード
人口動態の節目が歴史上、これほど重大な意味を持つことはめったにない。インドは現在、ほぼ間違いなく、隣国で地政学的なライバルでもある中国を追い抜き、人口が世界最多の国になった。 国連人口基金(UNFPA)は4月19日、長年予想されてきたアジアの二大大国の人口逆転が今年半ばに起きることを確認し、インドの人口が14億2800万人を超え、中国を約300万人上回ると予想した。 24日には、国連の別の組織で
バイデン氏立候補、米民主主義守る戦いの危うさ(社説)
バイデン米大統領は米国のリーダーとして成功を収めている。しかし、同大統領は80歳で、見た目も声も年相応だ。再選に向けて出馬するという同氏の計画は、民主党や米国、そして世界にとってリスクの高い賭けとなる。共和党の対抗馬がまたしても、トランプ前大統領になる可能性が高いため、そのリスクは相当に大きい。前大統領は76歳で、自らの任期中にこの職務に不適任であることを証明した。2020年大統領選の結果を受け
米中関係、恐ろしい時代突入 マーティン・ウルフ
米国と中国の関係は21世紀における人類の運命を決定付けるかもしれない。平和、繁栄、そして地球環境の保全を実現できるのか、それともその逆になるのか。 後者の場合、未来の歴史家(存在するようなら)は間違いなく人類が自らの愚かさから身を守れなかったと驚嘆するに違いない。 だが幸いなことに、現時点で最悪の事態を阻止するために行動できる余地が残っている。多くの分野でいえることだが、その1つが経済である。厳
バイデン氏「対トランプ」でも難路 エドワード・ルース
「私たちで任務を完了しよう」。バイデン米大統領は2024年の大統領選出馬を宣言したPR動画でそう呼びかけた。20年にトランプ前大統領の再選を阻んだことで既に役目を終えたと考えても問題なかったはずだ。 しかし、かつてアルゼンチンの文豪ホルヘ・ルイス・ボルヘスが母国と英国の間で起きたフォークランド紛争での領有権争いを描写したごとく、また「はげ頭の2人がくしを奪い合う」ような状況になりそうだ。 米国は
Apple、銀行にもなるのか ラナ・フォルーハー
米アップルは大半の銀行に比べ、世界的な事業展開がはるかに進んでおり、消費者からの信頼も高い。こう考えると、アップルがゆっくりだが確実に金融機関へと変貌しつつあるのは不思議ではないだろう。 同社は、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど伝統的な米金融機関の最低預金金利の415倍もの利率の貯蓄口座を米ゴールドマン・サックスと協力して提供する。 既に様々な金融サービスを提供した実績を持つ