米SEC、私募ファンド情報開示強化 リスクの報告義務化 - 日本経済新聞
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米SEC、私募ファンド情報開示強化 リスクの報告義務化

【ロサンゼルス=竹内弘文】米証券取引委員会(SEC)は3日、ヘッジファンドなどプライベート(私募)ファンドの情報開示対象を広げるルール改定を採択した。重大な負荷がかかり投資家の損害につながるリスクが生じた場合、速やかに報告を義務付ける。膨張する私募ファンドにシステミックリスクが蓄積していないか監視の目を強める狙いだ。

SECのゲンスラー委員長は声明で私募ファンド全体の運用資産総額が最大で25兆ドル(約3390兆円)に及び、米商業銀行の総資産23兆ドルより大きいと説明し「私募ファンドと資本市場との相互関係はこれまで以上に強まっている」と指摘した。

今回の開示義務の対象は運用資産15億ドル以上のヘッジファンドやプライベートエクイティ(PE=未公開株)ファンドだ。ヘッジファンドは多額の損失発生や顧客からの資金引き出し、証券会社との契約終了など運用に支障を来しかねない事態が生じた場合、72時間以内の報告を義務づける。

PEファンドは運用者交代などが開示の対象となり、四半期ごとの公表を義務づける。運用資産20億ドル以上のPEファンドについては、運用戦略を含めた情報開示を年次報告書に盛り込むことになる。

SECが2022年にルール改正案を公表した際、ヘッジファンド業界団体のマネージド・ファンド・アソシエーションは「開示にかかるコストはSEC推計の3.5倍に及ぶ」として規制順守コストの高まりに懸念を示していた。今回のルール改正とは別に、SECは私募ファンドの手数料・費用・運用実績の詳細なデータの開示を義務付けルール案も別途提案している。

SECは3日、上場企業に対する自社株買いに関する情報開示を強めるルールも最終規則として策定した。自社株買いの記録を日次ベースでまとめて四半期ごとに開示を義務付ける。米商工会議所は自社株買いを実質的に抑制するものとみなし、「米国民の年金運用を傷つけ、経済成長の鈍化をもたらす」(資本市場競争力センターのトム・クワッドマン氏)とする声明を出した。

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