湖北工業、「シリコンフォトニクス光スイッチを用いた4芯マルチコアファイバ用のコア間スイッチングモジュール」を産総研と開発
発表日:2023年05月08日
次世代空間分割多重(SDM)伝送向け光デバイスの研究成果について
湖北工業株式会社(本社:滋賀県長浜市、代表取締役社長 石井 太)はこのほど、次世代の空間分割多重(SDM)伝送向けに、「シリコンフォトニクス光スイッチを用いた4芯マルチコアファイバ(MCF)用のコア間スイッチングモジュール」を産業技術総合研究所と共同で開発し、「OFC2023(※)」で研究成果の発表を行いました。
<発表内容>
1.発表標題 : Core-to-Core Switching Module for 4-Core MCFs Using Silicon Photonics Matrix Switch Incorporating Silicon Vertically Curved Optical Coupler(垂直湾曲シリコンカプラ内蔵のシリコンフォトニクスマトリックススイッチを用いた4コアMCF用コア間スイッチングモジュール)
<研究内容の骨子>(OFC2023での発表内容)
・ 今後の光ファイバ通信の飛躍的な大容量化が期待される次世代のSDM伝送に用いられる光デバイスに関して、MCFコア間の経路切り替えスイッチモジュールを開発。
・ MCFを用いたSDMは、長距離・短距離の光ファイバ伝送システムにおいて、伝送容量の増加、ビットあたりのコストの削減を可能にする有望な技術として期待されている。
・ MCFコア間切り替えスイッチを実用化するための技術課題として、(1)高速切り替え、(2)省電力化が挙げられる。
・ 今回の研究成果はこの課題解決に向けて大きく前進するもので、以下の特徴を有する。
(1) 量産性が期待できる300mmウエハーを使用し、導波路部分には再現性の高いArF液浸フォトリソグラフィー技術を適用。
(2) 1つのシリコンフォトニクスチップで偏波ダイバーシティを構成。
(3) 光路長が同じ光スイッチトポロジーを適用し、スイッチ部の損失の経路無依存化。
(4) 垂直に湾曲したシリコン光カプラ(「エレファントカプラ」と呼ばれる)を用いて、波長帯域幅の拡大と偏波依存性の低減を実現。
(5) 新開発の高開口数(HNA) 4コアファイバを用いて、エレファントカプラと高効率に結合。
(6) エレファントカプラへのMCFの直接ソリッド実装。
(7) デジタルコヒーレント信号伝送のデモンストレーションに成功。
・ 今後、更なる低損失化などの課題に継続して取り組む
<湖北工業における今後の展開>
湖北工業では、毎年開催されるOFCにおいて次世代の光ファイバ通信技術の実用化に貢献するための研究成果を発表しています。日進月歩で進化する現在の光デバイス市場におきまして、海底ケーブルの伝送容量増加に向けた光
アイソレータの小型化や複合化、MCF 光デバイスなど、お客様のニーズに合わせた様々な先端技術製品を取り揃えています。メタバースなどを背景に今後、中長期にわたって大容量化が進む光ファイバ通信技術の進化に向けて、引き続き
業界をリードする光デバイスの研究開発を強化していきます。
※「OFC 2023(Optical Fiber Communication Conference and Exhibition)」
光通信分野世界最大級の国際会議と展示会。アメリカ・カリフォルニア州にて2023年3月5日から9日にかけて開催。
*参考は添付の関連資料を参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考
https://release.nikkei.co.jp/attach/654511/01_202305081724.pdf
関連企業・業界