東京農工大、光エネルギーを用いたベンゼンの変換技術を開発
発表日:2023年05月08日
「日焼け」したベンゼンが有用物質に?
—光エネルギーを用いたベンゼンの変換技術を開発—
国立大学法人東京農工大学大学院生物システム応用科学府食料エネルギーシステム科学専攻一貫性博士課程の中山海衣(研究当時)ならびに同大学院農学研究院応用生命化学部門の岡田洋平准教授は、有機化合物の代名詞とも言える「ベンゼン」を、光エネルギーを用いた穏やかな反応で有用な物質へと変換する手法を開発しました。今回の成果は、極めて安定で反応に乏しいベンゼンを、医薬品などの原料として活用することに繋がると期待されます。
本成果は、The Journal of Organic Chemistry 誌(アメリカ化学会)への掲載に先立ち、4月25日にWeb上で公開されるとともに、同誌の Supplementary Cover に採用されました。
・タイトル:Arene C-H Amination with N-Heteroarenes by Catalytic DDQ Photocatalysis
・URL: https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.joc.3c00293
●現状:有機合成化学は、我々の生活にとって必要不可欠な医薬品や機能性材料などの「ファインケミカル」を製造するために無くてはならない技術です。特に近年では、単に目的とする化合物を作るだけではなく、毒性の高い試薬や高価な遷移金属触媒の使用を最小限に抑えた、環境に優しい「作り方」にも注目が集まっています。また、反応に用いるエネルギーについても、化石燃料の消費を伴う熱から脱却し、電気や光といった持続可能なものを積極的に採り入れることが求められています。
有機化合物の代名詞とも言える「ベンゼン」は、多くの医薬品や機能性材料に含まれる構造です(図1)。
一方で、ベンゼンそのものは極めて安定で反応性に乏しく、有用な物質へと変換するためには、一般に毒性の高い試薬や高価な遷移金属触媒を用いて加熱条件に供する必要があります。電気や光といった持続可能なエネルギーを用いる穏やかな反応でベンゼンを有用な物質へと変換することができれば、医薬品などの原料として活用することに繋がると期待されます。
※図1は添付の関連資料を参照
●研究体制:本研究は、東京農工大学大学院生物システム応用科学府食料エネルギーシステム科学専攻 中山海衣(研究当時)ならびに同大学院農学研究院応用生命化学部門 岡田洋平准教授の研究チームで実施しました。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
図1
https://release.nikkei.co.jp/attach/654500/01_202305081646.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/654500/02_202305081646.pdf
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