366枚の写真でつづる戦時下の営み

ウクライナ 侵攻から1年

ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部への〝特別軍事作戦〟を始めた2022年2月24日から、これだけの日にちがたった。

ウクライナ国内の一般市民や国外へ逃れた避難民は、戦禍の非日常をいまなお強いられている。がれきや黒煙に囲まれながらも続く彼らの営み。一日一日を捉えた現地の写真でつづった。

2023年2月

【2月24日(366日目)】バフムトで亡くなったウクライナ兵である夫の墓を探す女性(ハリコフ)=AP
【2月23日(365日目)】電線を交換する電力会社の作業員(ヘルソン州プラヴダイン)=ロイター
【2月22日(364日目)】前線の町ブフレダルで、雪の上に転がる手りゅう弾=ロイター
【2月21日(363日目)】砲撃を受けて損傷したバスターミナル(ヘルソン)=ロイター

東部ドネツク州の要衝バフムトでは、侵攻1年を前にロシアの民間軍事会社「ワグネル」も加わるロシア軍が猛攻を仕掛ける。ウクライナ国内ではバイデン米大統領など軍事支援をする各国要人の電撃訪問が続く。

1月

【1月1日(312日目)】ロシアの無人機による攻撃で、街の上空に見えた爆発による光(キーウ)=ロイター

正教会のクリスマスを新年1月7日に迎え、祝賀の雰囲気はわずかに漂った。戦況は変わらず、欧米から戦車の供与が表明され、ウクライナ内相の搭乗したヘリが墜落するなど緊張が増す。

2022年12月

【12月7日(287日目)】雪の降る中、対戦車建造物の近くを歩く女性(キーウ)=ロイター

クリスマスから年末にかけて、前線も市街地も装飾に彩られ、日常のありがたさを感じさせる。ロシアからの攻撃はやまず、死者や負傷者も増加の一途をたどる。

2022年11月

【11月12日(262日目)】ロシア軍の撤退を喜ぶ地元住民(へルソン市)=ロイター

ウクライナの発電設備が攻撃されて停電が相次ぎ、越冬の厳しさが予見された。一方、ロシア側の市民や兵士の様子が現地のフォトジャーナリストから頻繁に届くようになった。

2022年10月

【10月14日(233日目)】「アゾフ連隊-マリウポリの天使」と名付けられた連隊の肖像画展を訪れた遺族(キーウ)=ロイター

防空壕(ごう)や地下鉄の駅で身を守る市民生活が続く。ロシアは、放射性物質をまき散らす「汚い爆弾」をウクライナが使う恐れがあると主張。一方、ウクライナ政府は、ロシアによる「偽旗作戦」で使用されることを警戒した。

2022年9月

【9月16日(205日目)】解放されたばかりの町で、集団埋葬地で作業の休憩を取るウクライナの救急隊員(ハルキウ)=ロイター

ウクライナ西部4地域では〝住民投票〟の結果によりロシアへの併合が進められた。逆にロシアから奪還、解放された地域では、支援物資に群がる市民の姿が見られた。

2022年8月

【8月1日(159日目)】ひまわり畑に立てられた地雷の危険表示(キーウ地方)=ロイター

ウクライナが侵攻を受けてからちょうど半年となる8月24日は、旧ソ連からの独立記念日。これほど攻撃を受け続けても、ダンス、絵画、舞台そして教育など文化的な活動を市民が支える。

2022年7月

【7月19日(146日目)】ロシア軍の攻撃で被害を受けた住宅で、高齢女性が部屋を出るのを助ける警察官(ドネツク州)=ロイター

家族や大切な場所を失い、途方に暮れる人もいれば、気丈に振る舞ったり、明るく過ごしたりする人も。キリスト教やイスラム教の礼拝は、場所を問わず行われていた。

2022年6月

【6月11日(108日目)】戦車の中から陣地を見守るウクライナ軍兵士(ドネツク州)=ロイター

小麦の収穫が近づく季節。容赦ない広範囲の攻撃で、畑の周りも戦火は広がり続け、ミサイル攻撃の残骸が転がっていた。民間施設への砲撃も後を絶たない。

2022年5月

【5月15日(81日目)】マリウポリ郊外のスタリクリム村で、新しく作られた墓地を歩く男性=ロイター

東部マリウポリはロシアに掌握され、ウクライナの戦闘部隊「アゾフ大隊」がアゾフスターリ製鉄所で降伏し移送された。国内各地でも町が無残な姿となっても人の営みは続く。

2022年4月

【4月5日(41日目)】ボロディアンカで破壊された家屋=ロイター

日常化した過酷な環境でも、遊んだりお祝いをしたりとたくましく生きる子どもたち。首都近郊ブチャでは民間人の大量殺害、マリウポリでは集団墓地の存在が明らかになっていた。

2022年3月

【3月7日(12日目)】イルピンの町から避難する際、破壊された橋を渡る地元住民。唯一の避難路が何日も激しい砲撃を受けた=ロイター

停戦協議を何度重ねても戦闘は続いた。銃を手に取る、火炎瓶を投げる、迷彩ネットを編む、土のうで街のシンボルを囲う――。ウクライナを守る市民のさまざまな姿が見られた。

2022年2月

【2月25日(2日目)】キーウ中央駅で、避難するためリビウへ向かう列車に乗り込む人たち=ロイター

侵攻開始早々、相次いだ市民への被害。鉄道の駅や国境付近では逃げ惑う人でごった返した。難民を受け入れる国では多くのボランティアや支援物資が彼らを迎えた。

【2月24日(1日目)】ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部における軍事作戦を許可した直後のキーウ市街地=ロイター

編集
データビジュアルセンター 写真映像グループ
進藤 秀幸、寺沢 将幸