[社説]アフリカ関与持続的に深めよ - 日本経済新聞
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[社説]アフリカ関与持続的に深めよ

岸田文雄首相がエジプト、ガーナ、ケニア、モザンビークのアフリカ4カ国を訪れた。ロシアのウクライナ侵攻を念頭に、各国と法の支配に基づく国際秩序の重要性で一致した。

4カ国はグローバルサウス(南半球を中心とした途上国)の一角を占め、日米欧と中国・ロシアのいずれの陣営とも一定の距離を置く。日本が議長国を務める5月19〜21日の主要7カ国首脳会議(G7サミット)を前に、各国と連携を確認できたのは意義がある。

大事なのは、アフリカへの関与を持続的に深めることだ。日本は経済協力を中心に話し合うアフリカ開発会議(TICAD)を30年にわたって開いてきた。長期的な視点で協力拡大を進めるべきだ。

アフリカではロシアが軍事分野で影響力を強めている。今回の訪問で名指しのロシア非難に同調したのがガーナ、ケニアだけだったのは現時点ではやむを得ない面もある。アフリカ最大の貿易相手国として日本をしのぐ存在感の中国は、多額の貸し付けへの返済が滞るとインフラ権益を奪う「債務のわな」が問題になっている。

アフリカはウクライナ戦争の余波による食料、エネルギー高騰の打撃が大きい。首相が食料生産能力向上や再生可能エネルギーの普及に協力を約束したのは適切だ。

人口増が続くアフリカは「最後のフロンティア」として成長が見込まれる。首相はスタートアップや人材育成に力を入れる方針を示した。日本にはアジアで中長期の成長の土台を作った支援の実績とノウハウがあるはずだ。日本企業とアフリカがともに成長できるよう、政府は日本の強みを生かしたきめ細かな支援を続けてほしい。

エジプトとの首脳会談では、内戦が続く隣国スーダンの事態沈静化に向けた連携を申し合わせた。日本はスーダンの在留邦人の退避を周辺国の協力も受けて無事、成功させた。スーダンの民政移行と停戦の実現は待ったなしだ。今度は日本がその国際的な取り組みを主導する番である。

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