[社説]子どもの声を聞ける社会に - 日本経済新聞
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[社説]子どもの声を聞ける社会に

子どもは未来の担い手だ。少子化対策はもちろん大切だが、子どもがすくすくと育っていける環境づくりも車の両輪として急がなければならない。

児童虐待やいじめ、貧困など、子どもをめぐる深刻な問題は後を絶たない。子ども施策を充実させる司令塔として、政府は4月にこども家庭庁を発足させた。子どもを性犯罪から守るための仕組みの検討などにも取り組むという。人材や予算の確保を含め、役割と責任は重い。

子どもの成長には、良好な育ちの場を地域に整えることも大切だ。親が働いているかにかかわらず保育所などを柔軟に利用できるようにすることや、職員配置の改善に政府が取り組む方針なのは、評価できる。親の育児不安の軽減にも役立つだろう。放課後の子どもの居場所づくりも急務だ。

大事なのは、関係する省庁や現場を担う自治体との連携を深めることだ。こども家庭庁発足後も、幼稚園は文部科学省に残り、幼保一元化はできていない。親の働き方の面では、厚生労働省との連携がカギを握る。縦割りをどこまで打破し、子ども施策を政府全体の最優先課題にしていけるか。6月の骨太の方針や秋に閣議決定する「こども大綱」が試金石となる。

4月には「こども基本法」も施行された。「子どもの権利条約」に対応するもので、個人として尊重されることや、意見をいう機会が確保されることなどを盛り込んでいる。こども家庭庁にとっても子どもの意見を聞き政策に反映することは大きな柱だ。

これを社会全体に根付かせることが欠かせない。意見は言えても生かされない、そもそも親や学校などにはなにも言えない、では問題だろう。

日本では「子どもは親のもの」「子育ては家族の責任」という意識がなお根強い。子どもをひとりの人間として尊重し、成長を社会全体で支えることが求められている。「こどもまんなか社会」の真価が問われている。

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