[社説]対韓輸出の正常化を歓迎する - 日本経済新聞
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[社説]対韓輸出の正常化を歓迎する

経済産業省は輸出優遇措置の対象となる「グループA(旧ホワイト国)」に韓国を再指定する政令案をまとめた。一般からの意見聴取を経て、正式に決める。

日本が対韓輸出管理の厳格化を決めた2019年の夏以降、日韓関係は経済面でも不透明感が漂い、企業経営の現場でも相手国への投資や共同開発などをためらう空気が一部にあった。

もともと両国の産業構造は補完性が高く、信頼関係が回復すれば双方にとってメリットが大きい。輸出正常化を機に日韓の経済的な結びつきが強まり、半導体をはじめ戦略分野でもパートナーシップが深まることを期待したい。

日本政府は従来、韓国側の輸出管理のずさんさを厳格化の理由としてきたが、韓国側では日本企業に賠償を命じた元徴用工判決への報復と受け止められた。保守系の尹錫悦政権の登場で日韓関係が好転し、さらに韓国の輸出管理体制の整備が進んできた時点での正常化は当然だろう。

日韓間の貿易規模は韓国側の日本製品不買運動もあり、19年、20年と縮小したが、その後は拡大に転じた。22年の日本からの輸出は7.1兆円と過去最大で、実体経済への影響は数字の上では一時的だったようにみえる。

ただ細かくみれば、半導体製造に使うフッ化水素は日本製から韓国製の代替が進むなど、厳格化によって日本企業が打撃を受けた品目もある。両国間のビジネスや文化・観光面の交流に水を差すなど「見えざる損失」も無視できない。両国とも得にならない、不毛な対立だったのではないか。

政府はこの教訓を経済安全保障政策に生かすべきだ。中国を念頭においた先端半導体技術の輸出規制など一定の歯止めはやむを得ないが「スモールヤード、ハイフェンス」の原則を銘記したい。

規制対象は必要最小限の狭い範囲(ヤード)に絞り、そこは高いへい(フェンス)で厳重に守るが、ヤードの外は企業の自由にまかせる。メリハリが肝要である。

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