米地銀WALが身売り検討とFT報道 会社「断じて誤り」
【ニューヨーク=大島有美子】英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は4日、米南部アリゾナ州を地盤とするウエスタン・アライアンス・バンコーポレーション(WAL)が身売りや事業売却を検討していると報じた。4日の米株式市場で同社の株価は前日比で一時6割下げる場面があった。WALの広報担当者は日本経済新聞に対し「報道はあらゆる点で断じて誤りだ。真実の要素はひとつもない」と強く否定した。
FTによると、身売りを模索するためのアドバイザーを雇ったという。一方WALは「売却を検討しておらず、戦略的選択肢を検討するためのアドバイザーを雇ったこともない」と述べた。
WALは2022年末時点の総資産が676億ドル(9兆500億円)と、全米で40位。23年3月末時点の預金は22年12月末と比べ1割減少した。3月のシリコンバレーバンク(SVB)破綻以降、地銀の預金流出に対する懸念が強まっており、株価は下げ基調が続いていた。
3月のシリコンバレーバンク(SVB)破綻以降、市場は財務や収益力が相対的に弱い地銀を見極めようと報道を含め情報に敏感だ。WALの株価は4日、2月末から8割超低い水準に下げている。WALは「財務的に健全で収益性の高い銀行に対する誤ったシナリオを広めた」と報道を糾弾し「あらゆる法的手段を検討している」と述べた。
米欧メディアは3日、西部カリフォルニア州地盤のパックウエスト・バンコープが身売りや増資などの経営再建策を検討していると報じた。パックウエストは4日、「戦略的選択肢を継続的に検討している」と表明し、提携先や投資家から接触を受けていることを明らかにした。
シリコンバレーバンク(SVB)やファースト・リパブリック銀行が破綻し、他の地銀や金融システム全体への影響が懸念されています。破綻の事例や解説記事をまとめました。
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