HSBC、1〜3月純利益3.7倍 米SVBの英法人買収で
【ロンドン=大西康平】英金融大手HSBCホールディングスが2日発表した2023年1〜3月期決算は、純利益が前年同期比3.7倍の103億2700万ドル(約1兆4100億円)だった。経営破綻した米シリコンバレーバンク(SVB)の英国法人の買収や、フランスのリテール(小口金融)事業の売却が不透明となったことで減損の差し戻しが発生した。
HSBCは3月にSVBの英国法人を1ポンドで買収し、取得した純資産との差額で15億1100万ドルの利益が出た。買収当初は預金が流出していたが現在は落ち着いており、融資残高は70億ドル増えたという。
21年に米投資会社サーベラス傘下の金融グループへの1ユーロでの売却で合意していたフランスのリテール事業は、金利上昇などの環境変化で金融当局からの承認を得るのが難しくなったという。計上していた減損の21億ドル分を戻し入れた。
純金利収入は38%増の89億5900万ドルだった。市場金利の上昇が追い風となり、預貸の利ざやを示す純金利マージンが1.69%と、1.19%から改善した。純手数料収入は6%減の30億400万ドルだった。19年以来となる四半期配当の再開と、20億ドルの自社株買いも発表した。
ノエル・クイン最高経営責任者(CEO)はSVBの英国法人の買収で「テクノロジーやライフサイエンス分野の起業家にアクセスできるようになった」とコメントした。
米テクノロジー企業への融資で知られ、米西海岸シリコンバレーのエコシステムの中核を担ってきたシリコンバレーバンク(SVB)が2023年3月10日、経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に入りました。関連する記事をお読みいただけます。