面接とエントリーシート 幼少時の身の上話は避けよう - 日本経済新聞
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面接とエントリーシート 幼少時の身の上話は避けよう

就活のリアル(上田晶美さん)

エントリーシートは面接の際の素材になる。幼少時からの身の上話などは避け、面接担当者にもっと聞いてみたいと思われるようなことを盛り込んでおいたほうがよさそうだ。

「面接でエントリーシートに書いたことと違う話をしてもよいでしょうか」。面接の練習に来た男子大学生からこんな相談を受けた。エントリーシートによる審査を通過して、面接がスタートしている学生が増えてきたこの時期。彼も続々とエントリーシートが通過し、面接の練習をしに来た。

基本的には面接では、企業側はエントリーシートを見ながら質問していく。エントリーシートはその内容で人物像を思い描くだけでなく、面接の素材になるという要素を併せ持っている。他のことも聞くとはいえ、書かれたことをもとに「なぜ取り組もうと思ったのか」「その成果は?」などと深掘りしていくのが、多くの面接のスタイルである。

彼が提出したエントリーシートの設問はどんな問いだったかというと、「あなたの人間形成に大きな影響を与えた出来事はなんですか」というものだった。

正直に家族の状況を書いたそうだ。「子どものころ父が亡くなって、母が苦労して育ててくれた。私もアルバイトをし、自分で学費を払ってきた」というもの。親孝行で良い話である。キャリアカウンセラーとしては「よく頑張ってきましたね」と大いにねぎらいたいところだ。

だが、そのエピソードについて、企業の人事担当者の反応は違うと思う。良い悪いではなく、その話にはあえて触れないようにし、他の話題で面接を進めるのではないか。

なぜなら、出自については法令で定められた収集してはならない個人情報になるし、それを理由に採否を決めてはならないとされているからだ。母子家庭について深掘りするような質問をすると、企業側は法律違反のリスクが生じる。

彼も「そう言われてみればそうだ」と思ったそうなのだが、エントリーシートを書いたのは数カ月前なので、あまり意識せず書いてしまったという。書いて出したものはしようがないし、それで面接まで進んでいるのだから問題ない。面接では他の質問もありそうなので、そちらで話が盛り上がることを願うとしよう。

エントリーシートに書く内容は、常に面接で聞かれそうなことを前提に考えてみよう。基本的に身の上話は避けること。企業側の目に留まり、面接に呼んでもっと聞いてみたいと思われるような話題を書き込もう。

だから多くの人が長所や成功体験、得意なこと、趣味・サークルでの経験などを、つぶさにエピソードを交えて書くわけだ。

エントリーシートは面接のネタ振りともいえ、書き方次第で担当者の関心を引き出すことができる。無論、提出時から面接まで時間がたっているので、書いたことと違う話をしても何ら問題はない。そもそも、幼少時からの身の上話を書いてしまう可能性がある設問はやめてほしいものだが。 (ハナマルキャリア総合研究所代表)

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