就活で知りたいのに 社内の人間関係、把握は難しく - 日本経済新聞
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就活で知りたいのに 社内の人間関係、把握は難しく

就活のリアル(栗田貴祥さん)

就活に関する企業の情報開示が進んでも、まだよく分からないことも多い。中でも「社内の人間関係」は関心が高いのに、事前に把握するのは難しいようだ。

就職活動真っただ中の4月、企業の説明会や選考面接を通じて、事業や仕事内容の理解を深めている学生も多いだろう。リクルート就職みらい研究所が行った2023年大卒生の就職活動振り返り調査(「就職白書2023」より)では、企業に関する情報収集の難しさが改めて浮かび上がっている。

調査では、学生に対して「就職活動で知りたいと思っていたもの」「知ることができたもの」を聞き、知りたいと思っていた率から、実際に知ることができた率を引いた数値を示している。その数値が高い項目ほど「知りたいと思っていたのに、就活を通じて知ることができなかった」内容となり、情報収集のギャップが分かる。

企業による情報開示が進んでいる今、「知りたいと思っていて実際に知ることができた」「知りたいと思っている以上に知ることができた」項目は多い。

例えば、男女別の従業員情報や、社会貢献活動への取り組み、女性役員の割合などは、多くの学生が思っていた以上に分かったと感じている。ほかに経営方針・事業戦略、財務状況、取り扱っている製品やサービスなど、ホームページで発信されている情報に対しても「実際に知ることができた」という声が多い。企業が開示している情報を、学生はきちんとキャッチしているとも読み取れる。

一方で、知ることができなかったと感じる項目には何があるのだろう。もっともギャップが大きかったのは、「社内の人間関係」だ。

知りたいと思った学生が43%だったのに対し、知ることができたと回答したのは27.6%。15.4ポイントの開きがある。採用実施企業側の59.6%は「情報として提供している」と回答しており、情報開示意欲が低いわけでは決してないが、オンライン選考が主流の現状では「社内の人間関係」について知る機会は少ないとも考えられる。

そこで学生の皆さんには、対面での個別企業説明会や選考が戻りつつある今、リアルな空間だからこそ得られる情報にぜひアンテナを張り巡らしていってほしい。説明会の場にいる社員同士、面接担当者同士がどんな表情やどんな言葉づかいでコミュニケーションをとっているか。社員の振る舞いや、その企業内の人と人とのコミュニケーションから、社風や企業文化を感じることができるだろう。

入社後にどんな人と一緒に働き、どんな関係を築くことになるのかを社員同士のやりとりからイメージしておく。それは、入社後のギャップを減らすことにもつながるはずだ。

企業側は社内のコミュニケーションの様子や上司と部下、先輩と後輩の関係性が伝わるようなコンテンツを発信していってはどうだろう。学生の不安を和らげ、入社後のリアリティーショックを予防することにもつながるだろう。 (リクルート就職みらい研究所所長)

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