林真理子「李王家の縁談」東京・紀尾井町(写真で見る文学周遊)

 皇太子(後の昭和天皇)へ娘の方子(まさこ)をこし入れさせる夢が破れた、皇族の梨本宮(なしもとのみや)家の伊都子(いつこ)。彼女は「他国といえども皇太子なのだ」と、最後の大韓帝国皇太子、李垠(イ・ウン)に娘を嫁がせた。時代に翻弄されながらも李垠と方子は仲の良い夫婦になり、1930年に東京・紀尾井町に英国風の美しい屋敷を建てた。現在はレストランや結婚式場として使われ、高層ビルの谷間に当時の面影を残している。(4月8日付夕刊掲載「文学周遊」の取材で撮影した写真で構成しています) (8日 14:00)

李王夫妻が建てた屋敷は今も残り、結婚式などに使われている。ステンドグラスを通った朝日が壁にグラデーションを描いた

  • 2万坪の屋敷は、皇族妃の伊都子でさえ息をのんだ
  • 職人が心血を注いで建てた屋敷は、いたるところに意匠が凝らされている
  • 李王邸の敷地は広大で坂も多く、夫妻はスキーを楽しむこともあった
  • 戦後、かつての豊かさを失った李王と方子。夫妻は屋敷を売った資金で息子のいるアメリカへ渡った=積田檀撮影

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