泉鏡花「黒百合」富山市(写真で見る文学周遊)

 富山市に語り継がれている一本榎(いっぽんえのき)伝説。富山城主だった佐々成政がアルプス越え(さらさら越え、ざらざら越えとも)をして浜松の徳川家康を訪ねた間、ことのほか目を掛けていた早百合(さゆり)が不義を働いたという噂が立った。無実を信じてもらえなかった彼女は、磯部堤の一本榎につるされて斬られる時に「立山のざら峠に黒百合の花が咲くときあなたを滅ぼしましょう」と言って、果てたという(富山市の案内板から)。伝説では神通川のほとりにあった一本榎だが、小説では町の中心、総曲輪(そうがわ)にあった設定になっている。(4月1日付夕刊掲載「文学周遊」の取材で撮影した写真で構成しています) (1日 14:00)

富山城跡に近い総曲輪の街路樹。作中で語られる、佐々成政が早百合をつるして殺した木もこの近くなのかもしれない

  • 雨でぬれた路面に信号が反射する。黒いユリがみつかった後、洪水が起きた
  • 黒いユリを求めてお雪が向かった石滝の場所として有力視される大岩山日石寺。観光に来ていたオーストラリア人婚約者カップルが、滝に打たれる修行体験で身を清めていた(富山県上市町)
  • 早百合が斬られた一本榎の場所に磯部さくらの碑が建てられた。桜の花が雨に打たれていた=三浦秀行撮影

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