中川なをみ「ユキとヨンホ」佐賀県有田町(写真で見る文学周遊)

 主人公ユキの父親は明の商人。国に帰る父が残した皿をきっかけに、磁器の美しさに魅せられた。ユキが愛した磁器のさとには、日本の磁器生産の誕生にまつわる多くのものが残っている。(5月6日付夕刊掲載「文学周遊」の取材で撮影した写真で構成しています)   (6日 14:00)

素焼きの器にうわぐすりをかける。本焼きを経て、藍色の絵が描かれた白磁が生まれる(しん窯青花)

  • 17世紀の初め、泉山磁石場で磁器の原料になる陶石が見つかり、日本で初めて有田で磁器が作られた
  • 朝鮮出身の陶工で、有田焼(伊万里焼)の祖といわれる李参平の像が石場神社の境内にある
  • 天狗谷窯跡 李参平ゆかりといわれる天狗谷窯は江戸前期の有田焼の代表的な窯
  • 復元された唐臼。水を利用して、テコの原理で上下に動かして陶石を粉にする。スイッチを入れると動作を見学できるようになっている
  • 有田観光協会ウェブサイトによると、トンバイ塀は登り窯に使われた耐火レンガ(トンバイ)の廃材や使い捨ての窯道具を赤土で塗り固めて作られたという
  • 陶山神社(すえやまじんじゃ、通称とうざんじんじゃ)には磁器製の鳥居など磁器などが境内にあふれている
  • 焼くと藍色になる「呉須(ごす)」という絵の具を使う(左下)。鹿の毛でできている太い筆で、絵の線の中を塗ることを「濃(だ)み」という(上)。うわぐすりはかけると絵は見えなくなるが(右下)、本焼きで透明になり、再び絵が姿を現す(しん窯青花)=三浦秀行撮影

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