経済学などを専門とする学者や有識者が内外の論文やデータを紹介しながら、学術的な視点から経済の動きをわかりやすく解説します。
企業の人事・労務関係者がいま注目するバズワードの一つに人的資本経営がある。人的資本とは人の持つ能力・スキルを一種の資本として捉える概念である。機械や工場などの物的資本と同様、…続き
岸田文雄政権が2027年度までの総額43兆円となる防衛費の大幅増額と、日本国外の敵基地への「反撃能力」を保有することを閣議決定した。戦後の安全保障政策における最大級の転換は、言うまでもなく中国の脅威が念頭にある。…続き
2000年代に入って以降、IT(情報技術)バブル崩壊、リーマン・ショック、東日本大震災、コロナ危機、ロシアのウクライナ侵攻など、日本経済は大きな負のショックに直面してきた。それに伴う不確実性の高まりの中で、…続き
2022年は、冷戦終結後30年続いたグローバリゼーションと国際経済協調体制が音を立てて崩れていくような年だった。コロナ危機、ウクライナ戦争、対ロシア制裁、さらには経済の武器化の動きやそれに対応する…続き
2023年度の「予算編成の基本方針」は「新しい資本主義の旗印の下、社会課題の解決に向けた取り組みを成長のエンジンへと転換し、我が国経済を持続可能で一段高い成長経路に乗せていく」と表明した。…続き
北半球で冬を過ごしていて2022年がエネルギー危機の年だったと気づかない人はまずいないだろう。
ウクライナの都市部はエネルギーインフラを狙ったロシアの…続き
旧年は疫病、戦争、異常気象が続く恐れと不安が入り交じった苦難の年であった。新年はそうした厳しい状況をそのまま引き継いだ状態でのスタートとなる。困難な状況に適切に対応するためには、…続き
人生で直面する様々な困難や苦悩が、「生きづらさ」という言葉で語られる機会が増えた。筆者は生きづらさは個人に起因する問題ではなく、社会構造を問うべき課題として捉えている。…続き
今回の税制改正大綱の策定プロセスでは、防衛力強化にかかる財源確保のための税制措置に世間の関心が集中した感がある。
防衛費のみならず、公共事業費、社会保障費、文教費などは、…続き
2023年度の税制改正大綱を巡る議論の焦点は、防衛費増額の財源確保に向けた増税の是非だった。政府は23年度から5年間の防衛費総額を約43兆円とする方針を決めた。27年度には約4兆円の追加財源が必要になり、…続き
新型コロナの感染拡大は緊急事態宣言下に特に女性の就業を減らしたが、徐々に経済・雇用はコロナ前の状態に戻りつつある。それだけに今は、コロナ前から存在した課題に対し、仕切り直しをする時期だといえる。…続き
育児休業など両立支援制度が円滑に利用されるには、育休取得者などがいても職場の業務遂行に支障が生じないことが鍵となる。
育休取得者がいた事業所の雇用管理上の対応(複数回答)をみると、…続き
2000年に介護保険制度が創設されて20年以上がたつ。22年度の介護保険費用は発足当初の約3.7倍に拡大している。22年3月末で要介護認定者数は約690万人だが、今後すべての団塊世代が85歳となる35年には…続き
5年ごとの国勢調査を受け、新しい人口推計の作業が進んでおり、2023年初めにも推計結果が報告される。24年にはこの人口推計に基づく年金財政検証を経て、年金財政の持続可能性などに問題があれば必要な年金改革が実施される。…続き
社会保障に関しては、年金・医療・介護各分野で制度改正に向けた日程が具体化し、改革論議が加速している。改革を求める最大の要因は、高齢化がもたらす圧力だ。高齢化は、社会保障を含む経済社会の「支え手」が減少し…続き
2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、解決の糸口を見いだせぬまま10カ月となる。英王立防衛安全保障研究所(RUSI)が11月に公表した報告書や当事国・周辺諸国の関係者の証言などから…続き
経済と社会において女性が果たす役割の変化は、20世紀の大きな変革の代表例といえる。今日では多くの先進国で女性の教育水準は男性より高く、女性の就業率は上昇し、男性が支配的だった場にも…続き
男女格差問題に取り組むには、格差の存在と大きさをまず確認し、その縮小に企業が真剣に取り組むよう適切なインセンティブ(誘因)付けをする必要がある。2022年7月、従業員301人以上の企業を…続き
日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、職場におけるジェンダー格差が最も大きい国の一つである。労働政策研究・研修機構によると、2020年の女性管理職比率は、米国41%、英国37%、…続き
英国経済は混迷のさなかにある。ジョンソン首相の退陣を受け9月にトラス政権が誕生したが、わずか1カ月半で退陣に追い込まれた。10月末にはスナク政権が誕生し、ひとまず混乱は落ち着いたかにみえる。…続き